海外の事例を参考にしてチャットボット導入の判断を
チャットボットは日本国内はもちろんのこと、海外でも広く利用されています。
チャットボットの導入を検討している企業としては、さまざまな事例を参考にしたうえで導入するかどうかを判断したいところです。もちろん、日本国内での導入事例も参考になりますが、より多面的に検討したいなら、海外での導入事例は参考になります。
この記事では、海外でのチャットボットの導入事例について紹介します。
チャットボットの導入にあたって知っておきたいこと
チャットボットとは、会話を意味する「チャット」と、ロボットの「ボット」を組み合わせてできた造語で、問いかけに対して自動返信する機能を持っています。
チャットボットは人工知能(AI)が学習を重ねることによって自然な返答ができる「AI型」と、一定のシナリオに基づいて返答する「シナリオ型」があります。
これらの機能により、顧客が問いかけた内容に対して回答を自動送信できるほか、チャットの履歴を自動出力することもできます。
チャットボットの精度を高めるためには、PDCAプロセスを継続的に行うことがポイントとなります。つまり、チャットボットが顧客の要望に応えているかを定期的にチェックし、要望に応えていない場合は返答内容を見直す、という作業を繰り返す必要があります。
チャットボットを運営するためには、運用設計を確実に行うこと、そして、運用中はチャットボットのマネジメントを適切に行うことが求められます。
そのほか、チャットボットの精度を高める方法として、チャットボットとCRM(顧客管理システム)との連携があります。それにより、顧客ごとの会話内容が記録できるため、より精度の高いチャットボットの運用を行えます。
海外でのチャットボットの導入事例
この項目では、海外の以下の4社が導入したチャットボットの事例を紹介します。
・PayPal
・Sephora
・オールステート保険
PayPal
アメリカに本社を置き、オンライン決済サービスを世界的に提供している「PayPal」は、ビジネス用メッセージアプリのサービスを提供する「Slack」で支払いができるボットを運用しています。
メッセージアプリとは、チャット形式でやりとりするアプリのことで、伝えたい内容を書き込むと吹き出しの中に表示されます。
Slackを利用して相手に送金するためには、SlackとPayPalのアカウントを連携させます。
次に、Slackのメッセージ入力欄に「/PayPal send $金額 to @(Slackのユーザー名)」を入力します。すると、PayPalのボットが作動し、「PayPalのアカウントにログインしてください」という内容の文章が英語で表示され、PayPalのログイン画面が表示されます。
ログイン画面でメールアドレスとパスワードを入力してログインすると、英語で「少々お待ちください」という内容が表示された後に「××さんあてに○○ドルが送金されました」という内容が表示されます。これらの文章はボットによるものです。
送金のための指示や、送金完了の案内がボットで行えるため、ユーザーとしては利用しやすいほか、PayPal側としても個人間送金において人手による仲介が不要であるため、利便性の高い機能といえるでしょう。
なお、このサービスが利用できるのは、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアのSlackのユーザーに限られます。日本のSlackユーザーは利用することができません。
Slackのユーザーは1日あたり500万人程度とみられていますが、PayPalを利用してSlackのユーザー同士が送金できれば、飲み代を割り勘にできたり、コーヒー代をおごったりなど、さまざまな場面で気軽に送金が行えます。
PayPal側としても、多くのSlackユーザーがSlack上でPayPal払いを利用すれば、PayPal払いの認知度アップが期待できることでしょう。
Sephora
フランスのコスメ専門店「Sephora」は、メッセージアプリ「Kik」にてチャットボットを運用しています。
数あるコスメ商品の中から要望に沿った商品を探したい場合などにチャットボットに質問を投げかけると、内容に応じて顧客に合った商品をおすすめします。
また商品の紹介やメイクのアドバイス動画を視聴できるため、はじめての商品でも安心して購入できます。
そのほか「Facebook Messenger」では来店予約を行えるチャットボットを展開しています。予約用のチャットボットのメリットは、予約を3ステップのみで行える手軽さにあります。
来店予約のチャットボットの導入により、アメリカ国内では来店予約数が11%増加し、顧客の購入金額は平均すると50ドル(約5500円)を超えるようになりました。
チャットボットを導入すると、顧客としては利便性が高まるため、販売額が増加する効果が期待できます。
オールステート保険
アメリカの大手保険会社「オールステート保険」は中小企業を対象とした保険商品の販売やロードサービスでチャットボットを導入しています。
商業用の保険販売で導入されたチャットボットは「Allstate Business Insurance Expert」の頭文字をとった「ABIE」です。
米国中小企業庁の調べによると、アメリカでは中小企業の開業件数が年間で約40万件にのぼります。保険会社は多くの企業からの問い合わせに応じなければならない場合がありますが、チャットボットを導入すれば、多くの問い合わせに対して効率的に応じられます。
問い合わせの一例としては「なぜ、ビジネス向けの保険が必要なのか?」「どのような保険が必要なのか」などがあります。保険に関するささいな質問であっても、チャットボットなら十分に応じられるため、顧客としては保険に加入しようとする意思が高まります。
チャットボット「ABIE」を導入することによって、保険代理店としての業務を強化しています。
そのほか、ロードサービスの「Good Hands Rescue Network」は、スマホにアプリをインストールしてサービスを利用します。運転中に何らかのトラブルが発生した場合は、電話で連絡するほか、チャットボットで救援依頼を呼ぶことも可能です。
チャットボットの導入によって数多くの依頼に対応できるようになったため、救援を待つドライバーとしては待ち時間が短縮する効果がみられました。
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海外のチャットボットサービスベンダー「Leena AI」
アメリカのスタートアップ企業であるLeena AI社は、従業員の問い合わせに応じるアプリ「Leena AI」を提供しています。
同社の創業者であるAdit Jain氏らは、インドの大学を卒業した後にチャットボットサービスの「Chatterron」を運営していました。その際、彼らは「チャットボットのサービスを提供するなら、幅広く手がけるよりも一つのサービスに集中した方が良い」という考えに至りました。
その理由は、チャットボットのサービスが一つにしぼられていれば、AIの学習効率が高いためです。
そして、彼らは「どんな業務をチャットボットに置き換えると業務効率が向上するか」ということについて考えていたところ「従業員の問い合わせに応じられるチャットボット」のニーズが高いことに気がつきます。
なぜなら、従業員が業務に関する問い合わせを行う場合、多くの従業員が同じような問い合わせを行っているケースが多かったためです。これにより、彼らは従業員の問い合わせに応じられるチャットボットの作成に取りかかります。
チャットボットで利用できる機能は、休暇、給与など人事に関する問い合わせのほか、達成目標の管理、社内の雰囲気を改善するための意見収集も可能です。
Leena AIを導入した企業では、人事に関する問い合わせの件数が減少し、本来取り組むべき業務に時間をかけられるようになりました。また、従業員は手軽に業務の質問ができるようになったため、業務効率化の効果がみられました。
まとめ
チャットボットの導入事例を参考にする場合、日本で生活する我々はつい日本国内での事例に情報を求めがちです。
しかし、IT技術に関しては日本よりも海外、とりわけアメリカが進んでいるといえます。そのためチャットボットの最新事例については、海外のチャットボット事情を積極的に導入したいところです。
言い換えるなら、海外の導入事例をいち早く日本に導入できれば、競合他社に大きな差をつけることも夢ではないでしょう。 海外のチャットボットの導入事例を参考にして、顧客にとって満足度の高いチャットボットの構築を目指しましょう。
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