チャットボットを効果的に活用するポイントは?

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チャットボット導入の検討

チャットボットは種類がたくさんあり、ベンダーの提供するサービスもそれぞれ異なります。チャットボットの導入は慎重に検討する必要がありますが、どんなものを選んだらよいのでしょうか。

ここでは、チャットボットを導入する前に理解しておきたい基本的な機能や特徴、チャットボットを選ぶ際に押さえておきたいポイントなどについて解説していきます。

チャットボットが注目されるのはなぜ?

音声や文字を使って自動で回答してくれるチャットボットは、現在では手軽なコミュニケーション手段として多くの企業で活用されています。市場調査およびコンサルティング会社の矢野経済研究所の「ビジネスチャットツール市場に関する調査を実施(2023年)」によると、2022年度のビジネスチャットツール市場は前年度比22.6%増の312億6,300万円の見込み(調査当時)であり、2026年度の予測は約437億円となっています。

また株式会社グローバルインフォメーションの「チャットボットの世界市場(~2028)」によると、世界のチャットボット市場規模は、2023年の54億米ドルから、2028年までに155億米ドルまで拡大し、23.3%の成長が予測されています。日本だけでなく世界規模でチャットボット市場は成長しているのです。

ではなぜ、チャットボットがこれほど注目されているのでしょうか、その背景にはいくつかの理由があります。

注目の理由1.AIの進化

急成長の背景の1つには、AI(人工知能)の進化があげられます。AIは、機械学習が膨大で複雑なデータを読み取り分析・判断・予測などを行う技術ですが、近年ディープラーニング(深層学習)によって急速に進化し、チャットボットの回答精度が向上していることがあげられます。

注目の理由2.働き方改革と労働生産性の向上

働き方改革の影響もチャットボットの活用を後押ししています。企業は社員のワークライフバランスを見直し、残業時間の削減や労働生産性の向上に向けた対策を求められています。

カスタマーサポートや社内ヘルプデスクでは、1日に数十件から企業規模によっては数百件にも及ぶ問い合わせに対応しなければならないときがあります。その中には日常的に多い質問や単純な問い合わせもあり、これらをチャットボットに対応させることでスタッフの負担軽減や生産性の向上、人員コストの削減などにつながります。

注目の理由3.ユーザー体験と差別化

商品やサービスの購入を検討する、あるいは迷っているときなどに疑問が生じた場合、ユーザーは速やかな解決を求める傾向にあります。

チャットボットは24時間365日、場所や時間を問わずに気軽に問い合わせができるうえ、そこで解決できればユーザーの満足度の向上、商品やサービスの購入、資料請求などの行動につなげやすくなります。

ユーザー体験で競合他社との差別化を図ることができれば、機会損失のリスクを最低限に抑えることができ収益につながる可能性があります。

チャットボットの種類と特徴

チャットボット市場拡大にAIの進化をあげていますが、実はすべてのチャットボットにAIが搭載されているわけではありません。チャットボットは異なる仕組みがあり、大きく分けると「シナリオ型」と「AI型」の2種類があげられます。どのような違いがあるのか把握しておきましょう。

シナリオ型チャットボットとは?

シナリオ型は、「Aという質問にはBと答える」など、ユーザーからの質問を予測してシナリオやルールを設定しており、「ルールベース型」「人工無脳型」とも呼ばれています。

単語やキーワードに沿って、チャットボットが問い合わせ内容をユーザーに選択させながら回答を導き出す形式が多いでしょう。設定はAI型と比べるとシンプルで導入コストも抑えられるのがメリットですが、複雑な質問やシナリオにない問い合わせには答えられません。

AI型チャットボットとは?

AI型は、問い合わせに対してあらかじめ学習させたデータを解析し、統計的に適切と判断した回答を導き出す技術です。機械が学習するため、データが増えることで同じ意味でも言葉の違うもの、表現ゆれ、表記ゆれなどにも対応します。

より複雑な問い合わせにも回答することができ、ユーザーが多く利用することでデータが蓄積し回答の精度が向上します。ただしコストはシナリオ型より高くなり、一定の学習期間を設ける必要があります。

チャットボット選びのポイント

チャットボットを効果的に活用するためには、どれを選べばよいのでしょうか。導入を検討するうえで、いくつか注意しておきたいポイントについて説明していきます。

まず前提として、チャットボットを導入する目的を明確にしておきましょう。問い合わせが多くスタッフが対応しきれない、データを活かしてユーザーに提案をしたい、作業効率を改善したいなど、企業の解決したい課題によって種類や必要な機能が異なるからです。

シナリオ型にするか、AI型にするか

AIが搭載されたチャットボットはシナリオ型に比べ複雑な問い合わせにも対応できますが、機能が高いから効果も高いということではありません。AI型は導入コストやランニングコストが高い傾向にあり、費用対効果を考える必要があります。

例えば1日に多く寄せられる、または想定される問い合わせの内容や数を洗い出します。登録するFAQ数が数十件程度で、一問一答で解決する質問が多い場合はシナリオ型で十分に対応できます。

さらに数百件以上で、複雑な質問の対応にも活用したい場合はAI型が必要になると言えます。

ただし、問い合わせの量や内容によってチャットボットの導入が適さないケースもあります。

自社開発か・他社OEMか

AI型チャットボットを導入する場合は、ベンダーのAIが自社開発か、他社AIのOEMかを検討することも大切です。

チャットボットを提供するサービスがAIエンジンを開発している場合は、理論を深く理解しているため導入企業のニーズを反映しながらAIの精度を高めることが可能になります。

一方OEMは、自社開発と異なり他社のAIエンジンを使用しているため理解度が異なります。AIは学習したデータから関連付けて判断を行いますが、その方向性が導入企業のニーズに合わない場合、軌道修正などの対応が難しくなります。

導入サポートがあるか

チャットボットは導入するだけではなく、導入に当たりその準備や設置後の運用も大切です。そのため、チャットボットを提供するサービスのサポートがあるか、ある場合はどのようなサポートがあるのかをしっかりと検討しましょう。

特に初めての導入では、専任のコンサルタントによるデータ作成、公開までのスケジュール作成、公開後の効果検証などのサポート体制が整っていることなどが望ましいでしょう。

またトラブルの対応はもちろん、分からないときにすぐ質問できる、使い方のコツや効果的な方法をアドバイスしてくれるなど、アクティブに支援してくれるベンダーを見極めて選びましょう。

ツールの内容が自社に必要なものか

ツール選びではほかにも、無料トライアル期間を設置しているところ、チャットボットを成長させる運用負荷を最小限に抑えているところ、セキュリティ対策を強みにしているところなどが考えられます。それぞれ独自のサービスを提供しているので、必要なものを照らし合わせていきましょう。

ツールの中には、無料で導入できるチャットボットもあります。ただし、有料のものに比べ使える機能が制限されているほか、自社で作成しなければならない場合があります。できるだけ費用を抑えたい、まずはツールに触れて体験してみたい人などにおすすめです。

チャットボットを自社で開発することも可能です。自社で1から開発する方法は自社の好みに合わせて開発やカスタマイズができるのが魅力です。またLINEやFacebookアプリなどが提供するAPIを活用する方法などがありますが、いずれにしてもプログラミングやチャットボットの技術、知識に明るい人材が必要です。

費用対効果を考える

ツール選びでは、機能やサポート、そして大切なのがコストです。チャットボットは導入コスト、ランニングコストなどがかかるため、費用対効果が見込めるものを選ぶ必要があります。

ベンダーの提供するサービスには様々な料金プランが組まれています。企業によってはマーケティング施策によるテストやヒートマップ機能、レポーティングなどを行う場合があり、オプションとして別に料金が発生します。

運用体制は整っているか

チャットボット導入では、運用体制をつくり専任担当者を決めるようにしましょう。導入前にユーザーのニーズを調査する、導入後はFAQデータのチェック、必要に応じて回答の修正やFAQ内容の変更、追加などアップデートしていく必要があります。

チャットボットが使いやすいものであるか、適切に導入されているか、問題は発生していないかなどを管理します。適切に活用されなければ、効果が出ないばかりか不満につながり状況を悪化させてしまう可能性もあるからです。

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目的を明確に、きちんとしたKPIを定める

チャットボットシステムの導入においては、目的を明確にすることが重要です。目的もなくただチャットボットを導入したとしても、売上の向上は見込めません。

目的の設定に役立つのがKPI(重要業績評価指標)です。KPIは目標達成のために達成することが必要な要素を定点観測する指標です。

チャットボットの導入前には、例えば「顧客問い合わせ件数を〇〇%増加させる」といったKPIを設定し、チャットボットをどのように役立てるかという戦略を立てる必要があります。

念入りなチャットボット選びを

チャットボットにはシナリオ型・AI型の2種類があり、それぞれの仕組みや特徴を活かした活用があることが分かりました。

現在チャットボットの種類は豊富にあり、それぞれどう違うのか、何を基準に選べばよいのかが分かりにくくなっています。

まず、どのような目的でチャットボットを導入したいのか、どのような課題がありどう解決できるのかを明確にすることが大切です。そのうえで自社に合っているタイプ、必要な機能、サービスなどを検討し、予算も含めてしっかりとツールの比較検討を行いましょう。

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