自然言語処理の分野で最新の技術を駆使し開発されたChatGPTは、現在、人工知能の進化を象徴する存在となっているといっても過言ではないでしょう。
ChatGPTは、多くの分野で活躍し、人々の生活を改善するために尽力しています。医療現場での診断や治療の支援、教育現場での知識の提供、ビジネス界での情報分析や問い合わせ対応など、様々な活用例が連日のように記事になっています。
そうした中で、各チャットボットベンダーが提供している既存のチャットボット製品が、ChatGPTに置き換わってしまうのではと言われたりもしていますが、本当にそんなことが起こりうるのでしょうか。
そこで、本記事では、ChatGPTとはどういったものなのか、現在どのような活用がされているのかを紹介しながら、ChatGPTが、現在販売されているチャットボット製品との違い、そしてチャットボットに与える影響について取り上げたいと思います。
ChatGPTとは?
ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデルの1つであり、自然言語処理(NLP)の分野で最も先進的な技術の1つです。GPTは、「Generative Pre-trained Transformer」の略称で、自然言語生成タスクを行うために訓練されたトランスフォーマーと呼ばれるニューラルネットワークをベースとしています。
ChatGPTは、現在の最新バージョンであるGPT-3.5アーキテクチャに基づいています。このモデルは、数十億のパラメータを持ち、非常に高い精度でテキスト生成を行うことができます。
なお、課金プランに加入することで最新のGPT-4バージョンのChatGPTを利用することができます。
ChatGPTの最大の特徴は、トレーニングデータに基づいて自然な文章を生成することができることです。ChatGPTは、テキストに含まれる単語や文法のパターンを学習し、新しい文章を生成することができ、自動要約、文章生成、質問応答など、様々な自然言語処理タスクに使用されます。
ChatGPTは、オープンソースで公開されており、APIを介してアプリケーションやサービスに統合することができます。
ChatGPTは何ができるの?
自然な会話
人間との自然な対話をすることができます。例えば、趣味について、旅行や観光、仕事や学校に関する相談など、幅広いテーマに関する会話を楽しむことができます。
質問応答
一般的な知識、科学、技術、歴史、文化、言語、芸術、哲学など、様々な分野に関する質問に答えることができます。例えば、「地球の直径は何キロメートルですか?」、「スリランカの首都は?」、「DNAの仕組みについて教えて」などの質問に答えることができます。
文章生成
文章を自然に生成することができます。例えば、小説、詩、ニュース記事、レポート、メール、またはメッセージなどを生成することができたり、与えられた情報に基づいて、商品の説明文や広告など、様々な文書を自動的に生成することができます。
翻訳
異なる言語間の翻訳を行うことができます。例えば、英語からスペイン語、フランス語から日本語などの翻訳が可能です。
テキスト要約
与えられたテキストを要約することができます。例えば、ニュース記事やレポートなどの長い文章を要約し、重要な情報を簡潔にまとめることができます。
プログラミング補助
プログラム言語に関する質問に答えることができます。また、プログラミングに必要な関数やコードのサンプルを提供することもできます。例えば、「Pythonで正規表現を使用する方法を教えてください」といった質問に対して、ChatGPTは的確な回答を提供することができたり、また、「数字をソートするためのPythonのコードを生成してください」と入力すると、ChatGPTは、要件に基づいてコードを生成し、開発者が必要な部分を調整することができます。
以上のように、ChatGPTは、自然言語処理の多くのタスクに対応することができます。
ChatGPTを利用する際の注意点および制限事項
回答内容が正確かどうかを保証できない
ChatGPTは自己学習型のモデルであり、トレーニングデータに基づいて自己学習しています。もし、トレーニングデータに偽情報が含まれている場合、それを学習することになるため、ChatGPTが生成する回答は、時には誤った情報を含むことがあります。
2021年以降の知識は保証されない
ChatGPTの学習データは主に2021年以前のWebデータを利用しています。そのため、それ以降の知識は乏しくなっています。ただし、OpenAIはChatGPTを常に改良・更新しており、最新のデータや技術を取り入れているため、2021年以降の知識についても、徐々に取り入れられていく可能性はあります。
扱えるデータはテキストのみ
ChatGPTは、音声や画像といった別の形式のデータに対しては、適切な回答を生成することができません。
※GPT-4では画像が扱える
応答の生成には時間がかかる場合がある
ChatGPTは、高度な自然言語処理アルゴリズムを使用しており、複雑な質問に対しては、より多くの時間が必要になります。
Web検索はできない
ChatGPTは、事前に学習したテキストデータを元に、応答を生成するため、Web検索機能を持っていません。そのため、最新のニュースなどの情報については、ChatGPT自体で検索を行うことはできません。
※最近は、WEB検索エンジンとの連携ライブラリが出ていますので、手を加えればWEB検索の実現は可能。
特定のデータでチューニングできない
ChatGPTは、学習済みのモデルであり、その構造は変更することができません。そのため、企業独自の情報や製品の仕様書などを登録することはできません。また、大量のデータを一度に入力することも困難であり、大規模な文書検索などの応用には向いていません。
※最近では、ドメイン固有のデータでChatGPTをファインチューニングすることができるようになるライブラリも出ています。
一度に入力できる文字数に制限がある
ChatGPTは、一度に入力できる文字数に制限があります。この制限は、大量のテキストデータを扱う場合に問題となることがあります。例えば、長文の文書を要約する場合、一度に入力できる文字数が制限されているため、文章を分割する必要があります。これによって、文章の意味が分断されたり、読みにくくなったりすることがあります。
ビジネスとしての活用例
ボイスレコーダーに搭載AI要約サービス
高性能スマートボイスレコーダーメーカーNicebuild LLCは、応援購入サイト「Makuake」で先行予約販売中のボイスレコーダー「iZYREC AI-mini」に、ChatGPTとWhisper APIを導入した要約サービスを開発。現在プロトタイプ版を公開中。
iZYREC AI-miniは、ボイスレコーダーの性能向上により発生する録音後の確認作業にかかる時間を、音声起動録音機能、自動文字起こし機能、ChatGPTによる要約機能によって解決することができます。自動文字起こし機能は高い精度で約20分の会話を3分で文字化することができ、ChatGPTによって長時間の会議でも要点を端的にまとめることができます。
アイデア創出の効率化を実現するAIブレスト機能(β)
株式会社システムインテグレータは、アイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN(アイデアガーデン)」の新機能として、Open AI社の自然言語処理モデル「GPT-3.5」を採用したAIブレスト機能(β)を実装しました。
この機能は、チャット形式でAIとアイデアのブレインストーミングが行えるものです。
IDEA GARDENのコメント欄で質問を投稿すると、AIがアイデアの概要や過去のコメントを踏まえたうえで回答します。さらにAIの回答の内容に基づいてさらに質問を重ねることで議論を深めることもできます。
AIブレスト機能は、社員がアイデアのフィードバックを得る際の効率化を図り、従来のアイデア創出活動を短時間でブラッシュアップできるようになります。
採用プロセスの効率化を実現するサービス「採用ジドウカ」
株式会社ゼロワンは、AIツールを使用して採用プロセスを効率化・最適化した採用代行サービス「採用ジドウカ」を展開。
このサービスは、候補者ごとにカスタマイズしたスカウトメッセージの送信や求人要件に合ったジョブディスクリプションを自動生成するなど、AIを駆使して採用業務を自動化します。
なお、AIが継続的に学習することで、各企業の基準にあった人材のスカウトや選考が高い精度でできるようになることが挙げられます。
ChatGPTと既存のチャットボット製品との違いは?
さて、確かに優れた言語処理能力を持ったChatGPTですが、チャットボットベンダーが提供している既存のチャットボット製品とどういった違いがあるのでしょうか。
ChatGPTと既存のチャットボット製品の主な違いは、自然言語処理の能力です。ChatGPTは、大規模なトレーニングデータを使用して訓練された自然言語処理モデルであり、文脈を理解し、自然な言語で回答を生成することができます。一方、既存のチャットボット製品は、より制限された文法やパターンマッチングに基づいて応答を生成するため、より限定的な回答しか提供できない場合があります。
ChatGPTは、多様なトピックの質問に対応でき、一般的な幅広い知識に関する質問への対応は得意です。一方、既存のチャットボット製品は、特定の目的に限定されており、多様なトピックに対応するのは難しいと言えます。
また、ChatGPTは人間のような対話を模倣することができ、より自然な回答を提供できます。一方、既存のチャットボット製品は、より簡単で明確な回答を提供することに重点を置いています。
ただし、ChatGPTは既存のチャットボット製品よりも高度な計算リソースが必要であり、実際のアプリケーションで使用するには、より高いコストがかかる可能性があります。
特定の製品やサービスの問い合わせ対応においてChatGPTと既存のチャットボット製品はどちらが適しているか
多様なトピックの質問に対応できるChatGPTですが、特定の製品やサービスに特化した問い合わせ対応においては、既存のチャットボット製品と同じように利用することができるのでしょうか。
チャットボットベンダーが提供している既存のチャットボット製品は、特定の製品やサービスに関する知識を含むトレーニングデータを使用して訓練されます。そのため、特定のドメインに最適化され、知識にないことは回答しないため、間違ったことを伝えるリスクが低いです。また、多くの場合、チャットボットベンダーは、顧客サポートや問い合わせ対応に特化した機能を提供しており、企業や組織のニーズに合わせたカスタマイズも可能です。
一方、ChatGPTは、特定のドメインに特化したトレーニングが行われていないため、特定の製品やサービスに関する問い合わせ対応には、最適な回答を提供できない場合があります。ただし、ChatGPTは、幅広いトピックに関する情報を提供できるため、一般的な質問や話題についての情報を提供することには適しています。最近では、特定のドメインのデータを追加で学習させるファインチューニングで特定の対応はできますが、ファインチューニングにはデータセットの品質や量、ハイパーパラメータの調整などが重要なファクターとなりますので、経験と知識が必要なのと、時間と労力がかかる場合があります。
というわけで、特定の製品やサービスに関する問い合わせ対応においては、現時点ではチャットボットベンダーが提供している製品が適していると言えます。ただし、ChatGPTも一定の役割を果たすことができるため、使用する場合には、利用シーンや目的に応じた適切な選択が必要です。
なお、ChatGPTに対し、既存のチャットボット製品がChatGPTに置き換わっていく可能性について質問してみました。
既存のチャットボット製品がChatGPTに置き換わっていく可能性はあると思いますか?
「ChatGPTのような高度な自然言語処理技術を備えたチャットボットが、将来的により一般的になる可能性はあります。しかし、現時点では、既存のチャットボット製品がChatGPTに完全に置き換わる可能性は低いと考えられます。
既存のチャットボット製品は、多くの業界や用途に合わせて設計され、企業が自社のビジネスニーズに合わせてカスタマイズすることができます。また、多くの企業は、チャットボット製品と統合された独自のデータベースやシステムを持っているため、それらの製品をChatGPTに完全に置き換えることは困難です。
一方、ChatGPTは、一般的な自然言語理解や自動応答に優れているため、多くの企業が自社のチャットボットや自動応答システムに統合することができます。また、ChatGPTは、より自然な対話を可能にするため、一部の業界や用途では、既存のチャットボット製品よりも優れた性能を発揮する可能性があります。
総合的に考えると、ChatGPTは、多くの場合において既存のチャットボット製品を補完する役割を果たすことができますが、完全に置き換えることは困難であると考えられます。」
(上記は、ChatGPTの回答内容をそのまま載せています。)
ちょっと意地悪な質問でしたが、適切に答えてくれていると思います。
ChatGPTが既存のチャットボット製品に与える影響
現在のところでは、ChatGPTは、既存のチャットボット製品と置き換わる可能性は低いと考えられますが、ChatGPTの言語処理の能力を取り入れて、既存のチャットボット製品を使いやすくすることが可能になるでしょう。
例えば、初期構築における初期データの用意やシナリオ設定をもっと楽にできるようになったり、メンテナンスの手間がかなり軽減できたり、より詳細なレポートがアウトプットできるようになります。
実際にそうした機能を追加したチャットボット製品も出始めています。
弊社イクシーズラボでも、ChatGPT APIと連携し、チャットボットの導入とメンテナンスに手がかからなくなる機能を提供しています。ご興味ございましたら一度お問合せください。
まとめ
本記事では、ChatGPTの概要、活用例、そして既存のチャットボット製品との違いや与える影響についてを取り上げました。
ChatGPTは、人工知能による自然言語処理技術の進歩を示す優れた例であり、自然な対話を可能にすることで、さまざまな分野での応用が期待されていて、今後もこうした大規模言語モデルを利用した事例は増えていくと思われます。その中でもチャットボットとの親和性は高く、チャットボットがより構築、運用しやすくなり、導入する企業が増えると予測できます。
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