これからの時代を担う新サービス「メタバース」
注目を集めているワードとして「メタバース」があります。「メタバースってどんなもの?」と聞かれると、答えに詰まってしまうのではないでしょうか。
この記事では、メタバースとはどのようなものかについて掘り下げます。また、メタバースとチャットボットの関連性についても触れ、両者が組み合わさることによってチャットボットがどのように変化していくか、という点についても考えていきます。
メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上に存在する3次元の仮想空間を指します。
メタバースという単語は、英語で「超越している様子」や「高次元」を意味する「meta(メタ)」と「宇宙」を意味する「universe(ユニバース)」、これら2つを組み合わせてできたものです。
メタバースに関連する出来事として、2021年10月にFacebookは企業名を「メタ」に変更しました。社名を変更した理由は、メタバースの開発に重点を置くためとされています。
アメリカの巨大IT企業、いわゆる「GAFA」の中の一社が企業名を「メタ」に変更したことを踏まえると、今後はメタバースが重要な位置づけとなることが予想できます。
メタバースは2000年代の時点ですでに実在
メタバースが登場したのはごく最近だと感じている人が多いのではないでしょうか。
しかし、メタバースのような仮想空間は2000年代の時点ですでに利用されていたのです。その仮想空間とは「セカンドライフ」と呼ばれます。
日本においては2007年頃にメディアで紹介され、その斬新なイメージから注目を集めました。ユーザー数は一時100万人を超すほどの人気ぶりとなります。
しかし、当時はインターネットの接続速度が遅く、グラフィックの不具合が生じやすかったこと、それに加えてFacebookなどSNSの台頭により、セカンドライフのユーザー数は減少の一途をたどってしまったのです。
これを踏まえると、メタバースもセカンドライフと同じ道のりをたどるのではないか、という懸念が生じます。
ただし、現在はセカンドライフが利用されていた2000年代と比べると、あらゆる面において状況が変化しています。
当時と比べて変化した内容としては下記があげられます。
・oculusなどのVR機器を利用できること
・5Gの整備によってネットワーク環境が高速化
・グラフィックは技術の進歩とハードウェアの処理能力向上により、さらに精巧でリアルに
・NFTおよび仮想通貨によって収益機会が拡大
・オンラインコミュニケーションに慣れ親しんだ世代がビジネスターゲットに
これにより、今後はメタバースのさらなる普及と利用が見込まれます。
メタバースの普及が進んでいる背景
メタバースの普及が進んでいる背景としては、以下があげられます。
・仮想的な空間の利用が進んでいる
・直接会わずにコミュニケーションすることが日常化
それぞれの項目について、以下で説明します。
仮想的な空間の利用が進んでいる
メタバースの普及を後押ししているのは、仮想的な空間である「VR空間」の利用が進んでいる点です。
技術者が開発したVR空間はインターネット上に公開され、ユーザーは、スマートフォンやパソコン、ゲーム機などを使えば手軽にその空間を楽しめます。
VR空間の一例としてはゲームの世界、中でもゲームのキャラクターがゲームの世界を自由自在に歩き回れるタイプのゲームがあげられます。
メタバースとゲームの関連性については後述しますが、日頃からゲームを楽しんでいるプレイヤーほど、メタバースの世界を実際に体感しているといえます。
これにより、メタバースという新しいサービスを気軽に受け入れられる環境はすでに整っているといえるでしょう。
直接会わずにコミュニケーションすることが日常化
現在ではコミュニケーションのオンライン化が進んでおり、直接会わずにコミュニケーションをとることは日常的なものとなりました。
オンラインを利用したコミュニケーションツールは新型コロナウイルスの感染が広がる前から利用されていましたが、感染の拡大によって非対面でコミュニケーションせざるを得ない状況に追い込まれます。
見方を変えれば、そのような状況になったからこそ現在ではオンラインツールを使うようになり。直接会わずにコミュニケーションをとることが一般的となりました。
メタバースを活用すると、直接会わずにコミュニケーションをとることができます。非対面でのコミュニケーションに対して違和感がなくなった現在では、メタバースをすんなりと受け入れやすくなったといえるでしょう。
これからはメタバースがさらに活用され、仮想的な空間においても仲間同士でコミュニケーションをとったり、一緒にゲームをしたり、さらにはビジネスの場として利用されるなど、メタバースがさまざまな活動の場になると見込まれます。
メタバースならではのキャラクター「アバター」
メタバースの特徴的な点は、自分の分身となるキャラクターである「アバター」を作ること、そして、仮想的な空間でありながら現実の世界と同様のことを行えることです。
先述したとおり、メタバースはインターネット上の仮想的な空間であるため、本人はその空間に入って活動することができません。そこで、本人に代わってアバターがメタバース内で活動する形となります。
アバターを作る場合、顔や服装などを自由に選ぶことができ、オリジナルのキャラクターを作れます。メタバース内ではアバターを通じて活動するため、本人の性格とは異なったキャラクターになりきって活動することも可能です。
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メタバースの条件を満たすゲームもある
メタバースの事例についてわかりやすく説明するなら「ゲーム」があります。
メタバースの条件を満たすゲームの特徴は、ゲーム内のキャラクターがゲームのフィールド内を自由に歩き回れることです。
ゲームの一例として、バトルロイヤルモードで熱い戦いを繰り広げられる『フォートナイト』があるほか、メタバースのゲームが数多く収録されているゲームプラットフォーム『ロブロックス』があげられます。
従来のゲームの場合、キャラクターが移動できる範囲は限られており、移動するにしてもあくまでも平面的な範囲内にとどまっていることが多かったため、メタバースに含まれるものではありませんでした。
現在では、ゲームという仮想的な空間内で、ゲームのキャラクターが自由に行動できます。
しかも、これらのゲームは、オンライン上で他のプレイヤーとコミュニケーションを取りながらゲームを楽しめます。この点はまさにメタバースの一種といえるでしょう。
若い世代、特にZ世代は『フォートナイト』や『ロブロックス』などのプレイ率が高く、家にいながらクラスメイトと一緒にコミュニケーションを取ってゲームを楽しんでいます。
このようなメタバースネイティブといえるZ世代が大人になり、社会の主役になっていくことを考えると、今後、メタバース関連のビジネスの拡大は必至といえるでしょう。
メタバースにおけるeコマース 「土地取引」
メタバースはビジネスの場としても活用されています。メタバース自体がインターネットを利用した仮想的な空間であること、また、ビジネス代金の決済はインターネット上で行われることから、いわば「eコマース」を利用しているといえます。
メタバースにおけるeコマースで特に注目されているのは、メタバース内における土地取引です。土地の価格は、場合によっては億単位となることもあり、現実の世界における不動産取引に引けを取らないほどの活況ぶりとなっています。
メタバース内の土地が値上がりする理由は、メタバース内の土地を利用して企業が広告を設置したりイベントスペースとして活用したりできるため、仮想空間でありながら土地の利用価値が高いことです。
それに加え、メタバースの土地は一定の範囲内に限られています。メタバース内の土地は需要が高い状態となっており、土地の価格はおのずと上昇しやすくなるのです。
仮想空間内における土地取引、というワードを聞いたとしても理解するまでに時間がかかってしまいそうですが、メタバースは仮想的な空間でありながら、現実の世界と同様のビジネスモデルを構築できます。
メタバースにおけるeコマース 「バーチャルショッピング」
今後、注目されそうなものとして「バーチャルショッピング」があげられます。
バーチャルショッピングとは、メタバースに店舗が出店しており、その中で買い物ができる仕組みです。メタバースの中の店舗は実物さながらであるため、まるで実際の店舗で買い物をしているような感覚となります。
2021年12月、凸版印刷はバーチャルショッピングモールアプリ「メタパ」の提供を始めました。
アプリを利用すると、複数の店舗を見て回れるほか、遠くにいる友達や家族と一緒にメタパで買い物ができます。
また、衣料やアクセサリーなどの雑貨を販売する「BEAMS」は、メタバースで開催される世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット2021」に出店しました。
バーチャルの店舗で接客するのは「アバター」です。アバターはBEAMSのスタッフが操作しているため、実店舗さながらの接客を受けられます。
BEAMSの事例ではアバターの操作を人間が行っていますが、アバターとチャットボットを組み合わせれば、チャットボットの技術によってアバターが自動的に接客することも可能になるでしょう。
次の項目では、メタバースとチャットボットを組み合わせたサービス展開について考えていきます。
メタバース×チャットボットで使いやすいサービスへ!
メタバースとチャットボットを組み合わせると、チャットボットが今まで以上に利用しやすいサービスになることが期待されます。
サービスの内容としては、チャットボットとユーザーの双方がアバターを介して会話することが予想され、今まで以上にチャットボットが利用しやすくなると見込まれます。
現在のチャットボットは、スマートフォンやパソコン上にチャットボットの画面が表示され、ユーザーとチャットボットの会話は文字だけで表示される仕組みとなっています。
このような仕組みであれば、チャットボットとしての機能を十分に果たしているといえます。しかし、この仕組みはあくまでも文字だけのやりとりとなるため、実際にチャットボットを利用してみたら「意外と味気なかった」と感じるユーザーもいるのではないでしょうか。
その点、メタバースとチャットボットを組み合わせれば、チャットボットが利用できる仮想空間内においてユーザーとチャットボット、それぞれのアバターが会話を交わせるようになります。
このような仕組みのチャットボットであれば、仮想空間内ではあるものの、アバターを介してまさに相手と会話をしている状態といえます。
アバターの姿をしたチャットボットから質問に対する答えをもらえれば、現在のように単に文字で返答されるよりも満足度は高いといえるでしょう。
現在、メタバースは、じわじわと注目が集まり始めています。メタバースとチャットボットを組み合わせたサービスの展開を視野に入れておく必要があります。
まとめ
メタバースのサービス自体は、現時点では一部の人々が利用するサービスとなっており、全体的にはまだまだ認知度は高くない状況といえます。
しかし、現在ではVRの利用や非対面でのコミュニケーションが日常的なものとなっているため、メタバースのサービスを利用する環境は十分に整っているといえるでしょう。
言い換えるなら、メタバースは今後急速に普及していくことも十分に考えられます。
そして、メタバースとチャットボットをうまく組み合わせることで、顧客体験価値の高いサービスが次々と生まれてくると考えられます。
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