DXからVXへ・変革する社会
IT技術の進化により、ビジネスを中心に様々な業務や作業がデジタル化へ移行するDX(デジタルトランスフォーメーション)が普及してきており、私たちの社会生活は大きな変革期を迎えています。
全てのモノがつながり、タスクを効率化することで少子高齢化社会や労働人口の不足という課題解決に貢献するDXですが、一方で現在、DXだけに留まらない、ビジネスを加速させるVX(バーチャルトランスフォーメーション)という新しい概念が生まれています。
このVXとはどのようなものでしょうか。ここではVXの概念と様々な技術、代表的な事例などを紹介していきます。
VXとは?
VXとは、「実質」または「仮想」を意味するVirtualと、変質・変換を指すTransformation(X-formation)を組み合わせた言葉で、現実と仮想が融合された概念のことです。
DXは、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したもので、ITの浸透によって人々の生活をより良い方向へ変えていくものという意味があります。
日本でもデジタル庁を作り、デジタルの導入を促してビジネスを変革し、企業の競争や成長を推進する取り組みを行っています。
VXは、そのDXの技術を補完する形で仮想世界をより現実に近い、実質的な行動・体験を生み出すサービスにつながるでしょう。
例えばチャットボットは遠隔操作ロボット(アバター)やデジタルヒューマンなどを介して会話するCSアバターに、EコマースはVコマースに、WEB会議はVR会議に、EラーニングはVRトレーニングにといったような形に変換されます。
DX
チャットボット
Eコマース
WEB会議
Eラーニング
▶︎
VX
CSアバター
Vコマース
VR会議
VRトレーニング
内閣府が掲げるムーンショット計画
VXなどを取り入れた社会の構想として、政府が「ムーンショット計画」というものを発表しています。ムーンショットは、超高齢化社会や持続可能な資源の活用など、社会課題に取り組むための目標を6つ制定しています。
そのうちの1つ、「ムーンショット目標1」について、内閣府では次のように掲げています。
ムーンショット目標1 2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現する
(引用元・内閣府)
これは、自分の身代わりとしてのロボットや、3D映像を活用したアバターを使い、身体的能力、認知能力、知覚能力を拡張するICT技術やロボット技術などを指す「サイバネティック・アバター」と呼ばれる概念に基づいて、新しい生活環境基盤を整えるための技術開発を行うことです。
政府は2030年までに、1つのタスクに対してアバターを活用し10人分の速度・精度で操作できる技術開発と運用できる基盤の構築、2050年までに複数の人が遠隔操作するアバターやロボットを組み合わせ、大規模で複雑なタスクが実行できる環境を整えるという目標を立てています。
若者から高齢者まで、異なった背景や価値観を有する人々がデジタルの力で様々な能力を拡張させ、多様なライフスタイルを追求しながら、社会に参画できる環境になることを目指しています。
またビジネスでは、空間と時間の制約を超えて国際的なコラボレーションを実現するプラットフォームの開発、企業と労働者をつなぐ新しい産業の創出、データ収集やそれらの活用による新しいサービス、通信遅延に対応できるサービスの創造などを期待しています。
ムーンショット計画で目標とされている社会を実現するために、VXを推進する技術が活用できると考えられます。
VXを推進する技術
VXサービスの具体的なものとしては、XR(クロスリアリティ)の技術があげられます。XRとは、現実世界に仮想世界を組み合わせることで、現実に存在しないモノを知覚できる技術の総称で、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などが含まれます。
ゲームやビジネスツールなどで活用されており、聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
VRとは「Virtual Reality」の略で、専用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着すると、仮想空間に入り込んであたかも現実世界であるかのように体感できる技術です。「PlayStation VR」を初めとするゲームなどで利用されています。
ARは「Augmented Reality」を略したもので、現実の風景にバーチャルの視覚情報を表示し現実世界を「拡張」するものです。スマートフォンに風景をかざして使うものが多く、代表的なものには2016年にブームにもなった「ポケモンGO」があります。
ほかにも、渋谷のまち作りビジョン構想として作られた「渋谷エンタメテック推進プロジェクト」があり、渋谷の街の風景をスマートフォンにかざすと、空中を浮遊する魚、天気情報や方角、店舗情報などが表示されます。
MRは、「Mixed Reality」の略で、現実世界と仮想空間を融合させたものです。VR、ARも同じことが言えますが、VRは仮想空間を現実的に、ARは現実世界に仮想的な要素を組み込むのに対し、MRは2つを組み合わせることで、「まさにそこにある」かのようなリアリティを出す技術です。
代表的なものには、「Microsoft HoloLens」があります。専用のHMDを使用すると、現実の空間の中にホログラフィックの3D映像が現れ、それに触れて実際に操作できるものです。
また横浜市で開催された「Sony presents DinoScience 恐竜科学博 〜ララミディア大陸の恐竜物語〜」では、専用のスマートグラスを使用して、MR技術によって実物大の恐竜が現実世界に現れたような臨場感を体験できる演出を行いました。
メタバースによるビジネスの加速
メタバースとは、 「meta」(超越・高次の)と「universe」(宇宙)を組み合わせた造語で、コンピューターなどに3次元の仮想空間を作り、そこに自分の分身であるアバターを参加させ、コミュニケーションをとりながら一緒に作業をしたり、プレゼンテーションを行ったりする空間やサービスのことを指します。
Facebookの仮想空間戦略
Facebookは最近、社名を「Meta」に変更し、 「Horizon Workrooms」という新サービスを立ち上げました。これは、メタバースを活用したバーチャル会議やワークスペースなど、ビジネスを中心とした空間を提供するもので、XRの代表的な例と言えるでしょう。
HMDを装着しミーティングを行うと、その空間にいるアバター同士で会話ができます。コミュニケーションは対面で行うように自然で動きもあり、声の方角が分かる立体音響を使っています。
ほかにもホワイトボードやPCを使える機能も搭載しており、これまでのオンライン会議とは一線を画すXRを実現しました。
Microsoft Mesh for Teams 仮想空間会議
Microsoft社でも、新しくMicrosoft TeamsにMR技術を融合した「Mesh for Teams」を2022年より提供すると発表しました。
Microsoft Teamsは、チャットや通話機能、会議、共同作業などができるビジネス向けコミュニケーションアプリで、チームでのリモートワークに必要なツールが全て格納されています。
「Mesh for Teams」もメタバースを構築し、ユーザーがアバターを利用してその仮想空間に集まって会議やプレゼンテーション、パーティーなど、様々な規模のイベントに活用できます。新人研修に使った企業もあり、講義はもちろん、バーチャルで社内を見て回るなど独自の体験を提供しているところもあります。
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デジタルツイン
またAIやIoT、ARなどの技術を用いた「デジタルツイン」という技術も注目されています。デジタルツインは、現実にある空間からリアルタイムにデータを収集し、その情報をもとに仮想空間に現実と同じ空間を再現するもので、工場や製造業、建設業などに活用されています。
例えば商業施設やビルなどの建設では、現場にIoTセンサを設置し周辺のヒト・モノ・クルマの動きをリアルタイムに再現します。
設計・施行・維持管理の各工程をデジタルツイン化し、効率的なオペレーションをシミュレーションしたり、老朽化がどのように進むと予測・分析できるかなど状況を管理したりすることができます。
東京都では、デジタルツインを活用して仮想空間に東京の街を再現し、リアルタイムで周辺のデータを取得しながら、災害対策や渋滞予測などのシミュレーションを行っています。
デジタルヒューマン
さらに近年では、CGとAIを駆使して人間にそっくりな姿と動きをする「デジタルヒューマン(バーチャルヒューマンとも呼ばれる)」があります。SNSやCMなどで、目にする機会も増えたのではないでしょうか。
代表的なものにバーチャルモデルとして展開する「imma」、アパレルブランドGUから誕生した「Yu」、中国のバーチャルモデル「AYAYI 」などがあげられ、表情や仕草、会話などが人間と間違えるほどの精度です。
ほかにもデジタルキャラクターで8歳の女の子「Lucy」は、映画祭にも出演するほどの注目を集めています。
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チャットボットとの融合の可能性
これらVXサービスと融合する可能性があるのが、チャットボットと言えます。チャットボットが活躍する舞台は、PCやスマホの画面だけではなく、仮想空間と現実上の両方に拡大し、より顧客体験を向上させるサービスを提供するようになるでしょう。
例えば、AIチャットボットとXRが融合することで、仮想空間内にデジタルヒューマンが登場し、対話形式でコミュニケーションすることができます。AIおよび音声認識の進化によって、テキストによるチャットだけではなく音声による対話もさらに精度が上がるでしょう。これにより仮想空間内での接客や案内が可能となり、顧客体験の向上につながります。
また、遠隔操作のロボット(アバター)、AR、3Dホログラフィックなどにチャットボットを組み込み、連携することで、リアル店舗や各種施設において、より人に寄り添った接客、案内などが可能となります。
このように、チャットボットは、VXの技術と融合することで、バーチャルとリアルの両方において、店舗での接客、イベントのアテンダントや案内、教育、介護現場など、人間に寄り添いコミュニケーションをとる存在として様々なビジネスの分野での活躍が期待されます。
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AIチャットボットCAIWA Service Viii
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